home>essay>人の特性について

人の特性について

君も僕も、彼も彼女も、みんないい面を持っている。例えば、数学はできないけれど英語ができる人や、スポーツは苦手だけれど絵が得意な人はいるだろう。能力面だけじゃなくて、「あいつ性格悪いなぁ」って言われる人だって、意外と野良猫の世話をしていたり、星を眺めるのが好きなロマンチストだったりする。みんなそれぞれ、誇れるべき一面を持っているものだ。

ところで昔、松下幸之助が著書「繁栄のための考え方」の中で、社員の長所に七分目をつけ、短所に三分しか目をつけない事を自分自身の成功の理由の一つと書いていたのだけれども、「なるほどなぁ」って思った。つまり僕の解釈だと、松下幸之助は「世の中いろんな人がいて、その中でウマが合う者など限られている。しかし人の長所を見て生活していく事は、短所を見て暮らしていくよりよっぽど楽しいし、人の長所を誉める事で相手との関係もうまくいく。そういうふうにしてきた事が、人生うまくいく秘訣だ。」と考えたのである。

ところで資本主義の特徴をご存知だろうか?それはある程度の決まりの中で、各人が思うとおりの仕事をすることで、皆が最大限の利益を得る事が可能という事だ。例えば花が好きな人は花を売る事でお金を得て、そのお金でハンバーガーを買ったり、映画を観たりする。また違う人は、得意なコンピューターを仕事にして、オフィスに花を飾ったりするだろう。花屋さんの間では競争があるから、自分の花を買ってもらう為に花をさらに綺麗に見せたり、値段を安くしたりと、毎日努力するだろう。そうすることによって、(勿論花だけじゃなくて)世の中の製品とかサービスの質が向上する。結果的に皆が利益を得る訳だ。勿論過度の競争によって生まれる社会的歪みが色々有るから、それらは改善していく必要があるけれど、生産性とか、個人の自由って点で言うと、これはかなり合理的なシステムだと思う。

ところであんた何が言いたいねん?」って言われそうなので、この文章の結論を言うと、個人個人が努力して、そして違う個人の良い面を見つけて生活していく事で、僕達の住んでいる世の中はもっと素晴らしく、そして楽しくなるのではないかということ。僕自身、僕の周りにいる人達の悪い面とかを見つけて「なんか嫌やなぁ」とか思ったりする事があるけれど、長所に七分目をつける事で、その人達の事を好きになることができる。そして僕の良い面を見つけて貰えたら、僕も嬉しいのだ。そして、自分の興味のある分野で一層努力する事は、世の為人の為になると思うのだけれども、どうでしょうか?
 

2/1/99

無断転載を禁じます。(C) 1999 Yuichiro Yamada. All Rights Reserved.