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雪や氷を踏みたい心理について

昨日自転車で走っていた時に、氷で滑ってこけた。しかも見事なこけかたである。つるん、ふわっ、でん!とまあ、こんな感じである。「よう解からん。もうちょっと気の利いた説明をせい!」って言われそうなので説明すると、自転車で学校までの登ぼり道を走行中、最近の寒さで凍った道のせいで、完全に自転車が浮いてしまうほどスベって転んでしまったのである。これは不覚。かなり痛い目にあってしまった。幸い、手を擦りむいて、腰を軽く打っただけですんだのだけれども、これはうまく受け身をとったからである。こんなところで、柔道を実践できるとは思ってもいなかった。

「で、なんでそんな凍った道を、わざわざ自転車で走っとったん?」って言われそうだが、もっともである。はっきり言って、飲酒運転より事故が起きる確率は高そうなほど、道はツルンツルンだったし、普通に考えれば、絶対あんな道を、チャリで駆け抜けようとは思わないであろう。しかしそこは、無茶をしたがる男の子の性分とでも言いましょうか、あるいは、雪または氷を見ると踏んでみたくなる動物の本能とでも言いましょうか、とにかく、「まあ、滑るかもしれんけど、滑ったほうが早く到着できるかもしれんな。それにおもしろいし」という無茶な理論で、走っていたのである。

雪や氷には、不思議な魅力があると思う。それは、それらを踏んでみたくなるという魅力である。「ふわっ」っとした新雪なんかは、特に踏んでみたい。誰も踏んだことのない氷をみると、手や足で「パリパリ」したい。この心理はなんであろう?なんだか「神聖なものを犯してみたい!」という、変態の欲求のように思えてしまうが、別にこれは、僕だけに限った事ではないだろう。

例えば、犬を飼っている人ならわかると思うけれど、犬というのは好んで新しい雪の上を歩こうとする。うちのバロン君や、以前山田家にいたカールおじさんなんてのは、その典型的な例である。散歩中僕と犬は、競って新雪を踏んでいたものである。違う例として昔、「かってにシロクマ」というくだらないマンガがあったけれど、それに出てくるシロクマやウリ坊はやはり、競って薄い氷を踏んで割って遊んでいた。このように動物には「雪や氷を踏みたい!」という潜在的な欲求があるようだ

まあ、犬二匹とシロクマとウリ坊の例だけで、僕のこの心理状態を正当化するのは少し無茶ではあるが、きっとあなたも「踏んでみたい!」という欲求に駆られた事があるのでは?
 

1/16/99

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