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辛い食べ物のこと

辛い食べものが好きだ。もう、食べだしたらとまらない。顔面から汗を吹き出して、ひーひー言いながら食べる。涙が出ても食べる。特に好きなのは、韓国料理のキムチチゲ。チゲっていうのは確か鍋料理の意味だったと思う。ニューヨークのエンパイアステートビルディングの近くに、コリアンタウンがあるけれど、そこに集まる韓国料理店は、どれも安くて、ボリュームたっぷりで、そしてうまい。NYに行く事があれば、是非行くことをお勧めします。キムチチゲ以外にも、韓国料理は辛いものばっかり。韓国食料品店とかで売っている、辛ラーミョン(韓国人はラーメンをラーミョンって言う)っていうのがあるんだけれど、これがまた、めちゃ辛で、そしてうまい。見た目は、「これ、やばいんちゃうん!」って言うほど赤いんだけれども、一度食べだしたら、最後の汁まで、ズルズル飲んでしまう。

タイ料理も辛い。そしてうまい。タイカレーっていうのは有名だけど、それに使うカレーペーストは半端じゃなく辛い。以前料理してみたんだけれども、ココナッツミルクをどばどば入れたのに、ほんのちょびっとのペーストのせいで、滅茶苦茶辛くなってしまった。一緒に住んでいるブライアンが、「何をクックしてるんだ?」って聞いてくるから、食べてもらったら、真っ赤になって苦しんでいた。

ブライアンに限らず、アメリカ人ってのは、あまり辛いものが好きって訳じゃないと思う。辛いものを出されると、まるで自分の権利を侵害されたような顔をする。だから当然、辛い料理なんて存在しない・・・と思いきや、この冬に行ったニューオリンズのレストランで、無茶苦茶辛い料理を出された。

注文したのはバーベキューオイスター、つまり、カキ料理って訳だけど、まさか辛いものが出てくるとは思っていなかった。カキとライスがスープの中に入っている料理なんだけれど、もう、それが本当に辛いの、うまいの、素晴らしい料理だった。予想していなかった出来事に、顔面から汗は濁流のように流れ出して、涙は出てくるし、見苦しいったらありゃしない。絶対に最初のデートでは食べられない料理である。なんとか水と、ナプキンを大量に消費することで、その場をやり遂げたけど、まったく、非常に辛かった。

でも、一度食べたら止められないのが、辛い料理の不思議なところ。またいつか、ニューオリンズに行って食べてみたいなぁ。
 

1/12/99
  


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