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知恵の輪のこと

知恵の輪をご存知だろうか?三省堂の新明解国語辞典 第三版によると、知恵の輪とは「幾つかの輪を、うまくつなぎ合わせたり抜き離したりして遊ぶもの」とある。言ってみれば古風な遊びであって、今どきこんなもんで遊ぶ子供達はいないであろう。「今日は家で一人で知恵の輪すんねん」なんて言う子供は、将来友達ができるか心配である。

この冬行ったニューオリンズのお店で、その知恵の輪を見つけた。様々な形の知恵の輪が山積みされているのである。淡い魅力を感じて一つ手にとってみる。いじくる。解けない・・・。もっといじくる。解けない・・・。むおおおおおーーー。やっぱり解けない。これほどストレスの溜まるものはないであろう。辞書には「遊ぶもの」とあるが、これでは遊べない。

そこで発想を変えてみることにした。「うん、これは集中力を高めるための訓練だ。」「うん、これはロジカル思考を高めるための訓練だ。」そう考えると、いやでも解かなければならなくなってしまった。自分自身が集中力がなくて、ロジカル思考ができないと思いたくないからである

気をしずめるために、深呼吸なんかしてみたりする。さらに、目を閉じて、お花畑を思い浮かべたりする。そして、わざとゆっくりと、しかも優しく知恵の輪を持って、解こうとする。カチャカチャカチャ・・・。

むおおおおおーーー!!!カチャカチャすること約10分、やっぱり解けないのである。「これはこの環境が悪いのではないだろうか?こんな人込みの中じゃなく、家に帰って、コーヒーでも飲みながらするべきじゃないだろうか?」こういう発想に至ったのは、自然の事であろう。結局 $16.95 を出して、知恵の輪5つ豪華セットを購入したのである。

そして思った。「よーし今日は一日みっちりかけて、一人で知恵の輪するぞー!!!・・・

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その後、5つのうち3つまでは解けた。しかし残り2つは、今だ僕を悩ませ続けているのである。
 

1/14/99

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